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彼との事③ 

僕は、朝から仕事に赴くかのように渋谷のスタジオに向かうのが日課になり、

ヨガの種類さえも、わからず、ただ、やみくもに、

目の前にあるクラスを貪るように、そこでアサナをとる事だけが、唯一の救いだった。
そして、彼は、午前中の仕事が終わると午後からクラスに来る。

彼は、ヨガインストラクターを目指して、春までという期間限定で都内に住んでいるらしい。

身体の不調から、生きる事さえ拒んでいたように、会話さえを拒んでいた僕だが、

いつしか、クラスの合間に彼と話す事が楽しみになっていた。

ヨガの楽しみ、将来の夢など、彼の口から出る単純な言葉が、待ち遠しくなっていた。

それは、僕とは生きてきた世界が、あまりにも違うからだったのだろう。



何故、ここまで、素直なのだろう…

この一点に尽きる。

僕自身がひねくれているから、この素直には、正直参った。

お手上げと言って良いほど、人にも、世の中にも、警戒さえせず、ただ素直なのだ。



彼がスクールを卒業し、静岡に帰った時に、一度だけヨガ仲間と、遊びに行った事がある。

魚介が美味しい飲み屋で、かき揚げをほうばりながら、

“こんな美味しいかき揚げは初めてだし、皆と食べるからこれほど美味しいんだ”

という言葉に、一同爆笑となった瞬間がある。

白々しく、嘘くさいような言葉だからだ。

しかし、彼の口から出る言葉や、仕草には何の曇りもない。

彼の独り勝ちである。馬鹿っ素直さの勝利なのだ。



そんな究極の素直さを武器に、彼は仕事を終えると渋谷スタジオにやってくる。

殆ど空腹で来る為に、クラス後は食欲で一杯である。

あるとき、僕がバナナを勧めた事があった。

たかだかバナナ一本である。しかし、彼の素直さは、想像を超えていた。

今、ここでバナナにありつける有り難さから、僕との出会いまでを、結びつけながら、

ヨガ哲学を、現世に照らし合わせたかのように、ヨガの叡智実践するのだ。

彼は素直にバナナを食べる。美しい光景だ。

人にバナナをあげて、こんなに感動されたのは、初めてである。

すっかり、彼の素直さに魅了された僕は、しばらくの間、バナナを提供する事になる。

自分で買えば良いのに…と喉まで出かかった言葉を飲み込み、

そんな事はわかっているけど、褒められたいだけの僕は、最早、なす術もなく、バナナを提供するのみである。

なんとう掌握術だろう…

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